その時、麻酔科医はどのように考え、
行動したのか。
MDマネジメントが15年以上にわたり
取り組んできた
コンサルティングをもとに、
読み物にしました。
実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。
東京では
気がつかなかった
大切なこと。
ここ数年、先生に対面でお会いできる機会は
めっきり減っている。
しかしその一方で、嬉しいお知らせを
いただくメールの数は、増え続けている。
先生からのメールも、そのひとつだ。
「あの時、思い切って転職して、本当によかったです。
想像のはるか上をいく満足度です」
こんな書き出しから始まる長いメールをいただいた先生とは、
もう10年以上も前からのお付き合いだ。
初めてお会いした日のことは、今でも鮮明に覚えている。
お約束の時間を1時間ほど過ぎた頃、
病棟の奥から先生が小走りでいらっしゃった。
「お待たせしてすみません。10分くらいなら話せそう
なんですが、それでもいいですか?」
先生はそう言いながら、テーブルの上にコンビニ袋を広げ
中からおにぎりを取り出した。
「朝からまだ何も食べてなくて、食べながらでもいいですか?
ほんとにすみません」
ご挨拶もそこそこに、私はMDマネジメントの麻酔科医局に
ついて、
ご説明をはじめた。
私が話をしている合間にも、
先生のPHSは容赦無く鳴り続ける。
そのたびに先生は、おにぎりをお茶で流し込みながら
対応されていた。
「ひとつだけお伺いしていいですか?
御社では、東京以外の地域の病院もご紹介いただけますか?」
「はい、もちろんです。弊社では、、、」
私が説明を始めようとすると、先生のPHSがまた鳴った。
「すみません、もう行かなくちゃ、、、」
PHSで指示を出しながら、私に申し訳なさそうに目配せしながら
先生はコンビニ袋を鷲掴みにして、
再び小走りで病棟に戻っていかれた。
そんな「出会い」の後、先生から改めてご連絡をいただき
面談を何度かさせていただいた。
お話のほとんどは、
最近の転職事情や麻酔科の先生の動向、
あるいは美味しいお店などの情報交換だったように思う。
そのメールをいただいたのは、
先生と初めてお会いしてから数年後だっただろうか。
「じつは、今日は、私個人のことで、ご相談があるのですが」
そんな書き出しのメールには、ご家族の事情で
先生が転職を考えていらっしゃること、少し今後の生き方も
改めて考えてみたい、ということが丁寧に記されていた。
先生のご要望は、少し意外なものだったが、
数回のご提案、お打ち合わせをしているうちに、
新しい病院でのご入職が決まった。
さて、ここからの話は、先生からいただいた
冒頭のメールの続きに戻るとしよう。
「転職を決めたときから、多少の収入減は想定していたので
それはあまり気にしていなかったのですが、
そのぶん、人生の充実度が大幅にアップしました。
これは、嬉しい誤算です」
先生は東京から転居され、静かな地方の病院に
転職されたのだが、
ご家族と過ごす時間が増えたことが
何よりの収穫だったらしい。
「娘の勉強を見てあげる時間もできたのですが、
ある日娘に、お母さんは、麻酔科の先生になってよかったって
思ってる?って、聞かれたんです。
私は、麻酔科医の仕事がいかに大切で、しかもやりがいが
ある仕事だと話して聞かせたのですが、そういえば、
自分の仕事について娘に話をしたのは、初めてでした。
こんなきっかけをつくっていただいたMDさんには
本当に感謝しているんです」
私は思った。
感謝しているのは、むしろ私のほうだ。
先生とのお付き合いで、人生には大切なものが、
たくさんあることを、私にも気づかせていただいたのだから。
先生のメールは、こう締め括られていた。
「もし、娘が将来、麻酔科医になれたら、
その時は、よろしくお願いしますね」
MDマネジメントは、
お金以上に大切なご経験を
先生にご案内したいと思っています。
どんなご相談、ご要望も
お聞かせください。